真山知幸ジャーナル

告知、執筆活動の記録のほか、書評、名言、偉人についてなど

思わず再読してしまった元博報堂社員の「転落の記」

別の筆名で執筆中だった新刊が校了

時間がぽっかりと空いたので、

書庫を整理しては電子化を進めている。

 

「名言」「偉人」の資料が全体の7~8割を占めており、

偉人は人物別にまとめているが、かなりの量になってきた。

ちょっとした偉人電子図書館ですな。

しかし、今、この本につかまり、順調な作業がストップ。

いやあ、2回目だが、ほんと生々しい記述。

ここまでよくぞ書いたものだ。

転落の記転落の記
(2012/01/20)
本間 龍

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筆者は、博報堂元社員で、

自身が起こした詐欺事件を赤裸々に綴った1冊。

当時、博報堂東証一部上場を控えていたことから、

その未公開株購入をちらつかせながら、

友人たちから次々と金をだましとったのである。

その額は数千万円にも及んだ・・・。

この手の犯罪は、何か自分とは程遠いように感じてしまうが、

きっかけは「仕事のミスを隠したい」という

誰もが持つような感情から始まったものだった。

初めはドキドキしながらやっていた詐欺の勧誘が、

「少し借りるだけ」と自分の中で正当化されていき、

いずれバレる嘘をどんどん重ねていく筆者。

だめだ、取り返しがつかなくなるぞ!と

読んでて、思わず心の中で叫んでしまった。

そんな読者の叫びが届くはずもなく、

筆者はプレッシャーから逃れるように

愛人を作って情欲に溺れついには消費者金融にも手を出す。

まさに「転落」である。

いやー、ここまで書くか。すごい。

 

そして、ついに運命の日が来る。

実際に博報堂が上場したのである。

株を買ってもらった(と思い込んでいる)

友人たちからの催促や追及が日に日にましていき、

筆者は嘘をつききれなくなってしまう。

 

もう限界!と、

筆者が友人に嘘だったこを

告げるシーンがとても怖い。

最初は「平田君」という友人に告白した。

平田君は「博報堂の未公開株が買える」と聞き、

一千万近く、筆者に支払っている。

そのことを念頭にどうぞ。

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「平田君、話があるんだ」

「ああ、株の件ですが。もう二月末日ですもんね」

「うん……そうなんだが……実はね……

あの話は嘘なんだよ」

「え?……どういうことですか?」

1分ほど間を置いて、私は言った。

「……あの株の話は、全部嘘なんだ」

「そんな……冗談ですよね」

平田君の声もかすれていた。

「冗談じゃあ、ないんだ。

今までしてきた未公開株の話は、全部嘘だったんだ。

……すまない。本当に申し訳ない」

今度は、彼が長い間沈黙している。

信じられない話をいきなり聞かされて、

恐らく絶句しているのたのだろう。

「なんで……どうしてなんですか」

その声を聞き、私は堰を切ったかのように声をあげて泣いた。

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泣きたいのは平田君のほうだろう・・・。

続きは本書でどうぞ。

あー整理しなきゃいかんのに。

転落の記転落の記
(2012/01/20)
本間 龍

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