病気が天才を作る ―ゲバラと喘息―
どういうわけだが、最近、風邪を引かなくなった。
僕がいう風邪とは「発熱」を指すので、
その手前の症状はなくもないんだけど
熱さえ出なければ、そこまで生活に支障はきたさない。
かつてはしょっちゅう引いていただけに不思議である。
しかし、病によって、健康であることのありがたさを知ることもある。
また、病で状況で制限されることで、思わぬ力が発揮されたりもする。
「天才」と呼ばれた人のなかには、病とうまく付き合ってきた人が少なくない。
彼もその一人だ。
革命家チェ・ゲバラは喘息持ちだった。
心配した両親がゲバラのために引越しを繰り返したのは有名な話だ。
だが、各国を放浪して、キューバ革命に身を投じていくなかでも、
ゲバラはいつも喘息と向き合わざるを得なかったのである。
己の弱さを知っている人間がいかに強いか。
正岡子規、ドストエフスキー、カフカ……、挙げればきりがないが、
病には、その人の才能を育み、行動に駆り立てる力があるように思う。
ちなみに、先に挙げたゲバラの本は伝記として良作である。
きちんと足跡をたどりながらも、ゲバラの心情に著者が思いを馳せている様子が伝わってくる。
著者なりのゲバラ観が実にいいバランスで綴られているのだ。
これが多すぎると自伝としては正確なものではなくなるし、
あまりにないと無味乾燥で退屈な、ただ正確なだけの伝記になってしまう。
ゲバラについては、世界を変えるにはどうすればよいのか、
理想だけではなく現実的な方法を模索していたと下記で著作で書いたが、