真山知幸ジャーナル

告知、執筆活動の記録のほか、書評、名言、偉人についてなど

清涼院流水のTOEIC小説『不思議の国のグプタ』が破天荒すぎる

書店に行っても、過剰なエネルギーを持つ

新刊に出合うことが、少なくなっている気がする。

本が売れないため、出版社で企画を通すのに

「類書があるのか? そしてそれは売れているのか?」という点が

より重視されるようになったのも、その一因かもしれない。

書店に行っても、同じような本が並んでおる。

そんなかでも、これはヤバいなという本はある。

不思議の国のグプタ―飛行機は、今日も遅れる不思議の国のグプタ―飛行機は、今日も遅れる
(2013/04/10)
ヒロ前田、清涼院流水

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ヒロ前田氏との共著という形になった、

清涼院流水氏の新刊は、TOEIC小説。

そうあの、英語試験のTOEICである。

やたら飛行機が遅れるわ、

コピー機はすぐに壊れるわ、

会社の近くには必ず新しいレストランがオープンされるわ、

出てくる企業は大企業ばかりでピクニックばかりするわ

歯医者は予約の変更を勝手に留守電に吹き込むわ……。

そんなTOEICの出題傾向として、

あるあるな展開を小説に盛り込みながら、

いじり倒したのが本書。

ほとばしるTOEIC愛!

あまりにもマニアックすぎて

電車でニヤニヤしてしまった。

筆者たちがTOEICの世界を楽しみし尽くしていることが

嫌と言うほど伝わるので、

思わずTOEICを受けたくなってしまう、という……。

小説を読みきれば、TOEICの点数も

ちゃんと上がるようになっているところが秀逸。

常軌を逸した情熱で書かれた奇書でありながら、

優れた実用書でもある不思議な1冊であります。

何度も読めるなあ、これは。

【追記】

熱量のある奇書といえは、

梅田カズヒコ氏のエレベーター本も思い出す…。

エレベスト―日本初のエレベーター鑑賞ガイドエレベスト―日本初のエレベーター鑑賞ガイド
(2008/06)
梅田 カズヒコ

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