「潜入ルポ ヤクザの修羅場」>鈴木智彦(文春新書)
潜入ルポ ヤクザの修羅場 (文春新書) (2011/02/17) 鈴木 智彦 商品詳細を見る |
ダウンタウンの浜ちゃんは、ヤクザ雑誌やヤクザ映画が大好きなそうな。
任侠の世界への憧れ。
外国人も「ニッポンのYAKUZA」への関心は高い。
この新書の作者、鈴木智彦氏はヤクザ雑誌の編集長を経て、
現在はライターとして活動している。
編集長をしていた雑誌の名前は「週刊実話」。
ライターとしてはライバル誌「週刊BULL」で執筆しているそうだ。
そのへんの事情も本書では書かれている。
両誌とも未読だが、コンビニではよく見かける。
なんとなく浜ちゃんのようにヤクザ好きの読者が
買っているのだろう、と思っていたが、大きな勘違いだった。
ターゲットとするメイン読者はヤクザたち、本人なのだ。
ヤクザのために、ヤクザを取材し、ヤクザが連載を持つ。
そう、ヤクザの業界誌という位置づけだったのだ。
うーむ、ディープ過ぎる。
そこの編集長だけあってさすがに修羅場を経験してきている。
ヤクザに「殺すぞ」といわれるたびにその回数を記録した
「殺すぞカレンダー」の話などは笑えるが、
実際にやれといわれれば、かなりしんどそうな仕事だ。
何気なく買ってみた本書だったが、
新聞の新書ランキングでは上位に食い込んでいた。
かなり売れているようである。
近づきたくはないが、覗いてみたい――。
そんな読者が多いとしたら、著者の目論見通りだ。
鈴木氏は当初、特別にヤクザに関心があったわけではない。
ただ「他人が実生活では関わりたがらない
世界に詳しくなれば、メシの種になるのではないか」
と踏んで、ヤクザ雑誌畑を歩む決意をした。
その心意気や、よし。
ライターとして活動する目算はすでに
その頃から漠然としてあったのではないだろうか。
出版業界を目指す人に読んでもらいたい1冊。
大手勤務ではわからない世界が、
この業界では、いくらでもある。