真山知幸ジャーナル

告知、執筆活動の記録のほか、書評、名言、偉人についてなど

若林亜紀『体験ルポ 国会議員に立候補する』 (文春新書)

体験ルポ 国会議員に立候補する (文春新書)体験ルポ 国会議員に立候補する (文春新書)
(2011/03)
若林 亜紀

商品詳細を見る

若林亜紀氏は第22回参議院議員通常選挙で「みんなの党」から立候補したが落選。

ジャーナリストに戻るならば、当然、こういうレポを書くとは思っていた。

 

書くとは思っていたが、ここまで書くとは思わなかった、というのが正直な感想だ。

立候補にいたる経緯、そして選挙までに見に降りかかったさまざまなトラブル。

それも「みんなの党」内部の軋轢など、かなり赤裸々に綴っている。

特に代表の渡辺喜美の「わがままさ」は強烈なものだった。

みんなの党の出版物を出すにあたって、若林氏がいかに東奔西走したか。

校了を過ぎてもなお、内容の変更を命ずる渡辺代表。

そして出版されてからも・・・。

著者の若林氏と担当編集者の狼狽ぶりがすさまじい。

いやいや、一人の編集者としても胃が痛くなるような内容だった。

しかし、ここまではいかなくても近いことやるような先生著者は確かにいる。

この本は選挙に出るのにいくらかかるのかの細かい経費に

以下に安く済ませられるかのノウハウも満載なので、

政治家志望の人にはもちろんだが、編集者志望の人にも読んでほしい本だ。

若林氏がみんなの党の本の出版をするにあたって、

さまざまな版元をあたるのだが、そのときの相手のリアクションなど、

書籍企画についても良くわかると思う。

にしても、若林氏はまた選挙に出る意欲を見せているのだが、

それなのに、こんなに書いてしまっていいのだろうか?

読者にとってはありがたい話だが、そんな心配をしてしまった。

少なくとも「みんなの党」から再び出ることはないだろう。