ますますいい気な「おせち」を叱る
おせちはこのところ、少しいい気になっているのではないか――。
これに勝るエッセイの書き出しを、僕はまだ知りない。
「おせちは、伝統とか、儀式とか、由来とか、
そういうものの上にアグラをかいて
いい気になっているような気がする」
と怒り出し、一品一品に説教していく。
なんて素敵な人なんだろうか。
「ゴマメは見るからに貧相である」
「カズノコが主張している『多産、子孫繁栄』などは、
時代錯誤もはなはだしいうえに、
中国あたりから抗議される恐れもある」
「黒豆が言わんとする『マメに働く』などは
ECあたりに知られたら国際問題にもなりかねない」
今回のグルーポンのおせち騒動を見ていて、
まず思い出したのがこのエッセイだ。
おせちじゃなかったならば、
これほどの騒ぎにはならなかったかもしれない。
この名エッセイは「タコの丸かじり」に収録されている。
ぜひご一読をば。
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