朝の足取り
最寄の駅まで歩いて15分足らず。
早起きして、天気が良ければ、歩く。
すったかた、と坂道を下っていく。
街路樹の変化に移り行く季節を感じながら、
登校する子どもたちとすれ違う。
友達とはしゃぐ声に思わず頬が緩む。
諸君、がんばって勉学にスポーツに、
そして遊びに大いに励みたまえ、という顔で
うんうんとうなづく。
そういう不審なことをしているときに限って、
近所の知り合いに会うわけで。
よく会うKさんは保育園に子どもを送るのが日課。
割と年上なのだけど、うんと物腰が柔らかいKさん。
帰りは、仕事が早く終わる奥さんが迎えに来るんです、と
いつもの丁寧な口調で教えてくれた。
「早朝に会議があるので先に行きますね!」
そう言って駅に駆け出していく、その背中を見て、
また、うんうん、とうなづく。
そんな贅沢な朝の時間。
明日も早起きできるとよいなあ。
「一番大切なことは
単に生きることそのことではなくて、
善く生きることである」
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