真山知幸ジャーナル

告知、執筆活動の記録のほか、書評、名言、偉人についてなど

作家志望の少女をDISる田山花袋

中年作家が弟子に恋して懊悩する、枕くんくんシーンで有名な『蒲団』。

日本の私小説の出発点とも言われる名作だが、主人公の時雄の口を借りて、結構ひどいことを言っている。

主人公の時雄が若い女性から、

「弟子にしてほしい」

という手紙をもらったときのシーンで。

「時雄も内々胸の中で、

どうせ文学を遣ろうというような女だから、不容色(※顔かたちが醜いこと)に相違ないと思った。

けれどなるべくは見られる位の女であって欲しいと思った。」

・・・って自分はこの顔で言うか!

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だけれども、会って見たならば、思いのほか可愛い娘。一緒に住むことになり、テンションあがりまくりの花袋がかわいい。

「最初の一月ほどは時雄の家に仮寓(※仮に住むこと)していた。

華やかな声、艶やかな姿、

今までの孤独な淋しいかれの生活に、何等の対照!」

奥さんいるのに、興奮しすぎ!

名作は時代を超えて、何度読んでも面白い。

読書の秋。

蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)
(1952/03/18)
田山 花袋

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