映画「八日目の蝉」
八日目の蝉 通常版 [DVD] (2011/10/28) 井上真央、永作博美 他 商品詳細を見る |
永作博美演じる希和子は、
既婚者の男性と不倫関係にあって妊娠したが、
相手に「もう少し待って欲しい」と言われて中絶。
男性の妻との離婚を信じていたが、
男にはそんな気は毛頭なく(そりゃそうだろうな)、
それどころか、妻との間に第1子をもうける。
不倫を知った男性の妻からは罵倒され、
人生を台無しにされた希和子がとった行動が、
生れたばかりの子どもの誘拐だった。
赤子を無防備に放置しすぎだろう、
というツッコミはさておき、
このストーリーの肝は、
その子どもに中絶した娘の名前をつけて、
実の娘のように育てるところである。
逃亡生活を続けながら、誘拐した子どもと
貧しいながらも豊かな親子関係を築いた希和子。
やがて希和子は逮捕され、
子どもは実の親のもとに返されるが、
幼少期の3年間は大きく、
実の母親との関係に苦しむことになり・・・。
成長した娘・恵理菜を演じたのが、井上真央。
事件のこともあり、物事に冷めた生き方をしていたが、
自分を誘拐した希和子との足取りをたどるうちに、
幼い頃の記憶が揺さぶられていく。
ややもすれば荒唐無稽にもなる展開に
リアリティを持たせたのは原作の力も大きいだろうが、
役者陣がよい演技をしていたからだろう。
恵理菜を取材するフリーライターは
物語のキーパーソンともなる大事な役どころだが、
小池栄子が演じて、挙動不審なキャラクターが板についていた。
重い展開だけにコミカルな演技に救われるような思いも。
幼少期の時間を共有した相手との足跡は、
時間とともに薄れはしても、
脳の奥底に残り、決して消えることはない。
それがたとえ血のつながりがない相手であっても。