真山知幸ジャーナル

告知、執筆活動の記録のほか、書評、名言、偉人についてなど

自由律俳句は僕らをやさしく包む

自由律俳句といえば、この2人が思い浮かぶ、。

大正時代に活躍した尾崎放哉や種田山頭火である。

両人を知らない人でも、尾崎の「咳をしても一人」、

山頭火の「分け入つても分け入つても青い山」の作品は耳に覚えがあるだろう。

2ちゃんねるまとめサイトで「咳をしてもゆとり」というものもある。

思わず笑ってしまったが、なかなかにウマい。

そんな自由律俳句をもっとポップに、

そして生活に密着したものとして遊び倒しているのが、この2冊だ。

著者は文筆家のせきしろとお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹氏。

1冊目の帯は穂村弘が、2冊目の帯は俵万智が書いている。

カキフライが無いなら来なかったカキフライが無いなら来なかった
(2009/06/25)
せきしろ、又吉 直樹 他

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まさかジープで来るとはまさかジープで来るとは
(2010/12/16)
せきしろ、又吉 直樹 他

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・ ひなたぼっこをしているのか置き去りなのか老人

・ 初対面の気がしないと言われても困る

・「で」という顔で待たれている

・ イントロは良かった

・ 姿勢が良すぎる人とすれ違う

・ さっきのオーダー今から作り始めるようだ

あるあるネタと似て非なるのは、説明しすぎないところだ。

読み手の情景を思い浮かべる力をぐんと引き出してくれる短い言葉たち。

ああ、わかるなあ、と思いながらも、

実際に本当にそんな場面があったのかどうかは定かではない。

読み手それぞれの「そういう類のこと」がなんともいえない可笑しさと、

気恥ずかしさ、滑稽さを感じさせてくれる。

日常が味わいつくす言葉たち。

それさえあれば、幸せに暮らせるのだと僕は思っている。